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誕生日

今日、4月10日は父の88回目の誕生日にあたります。

今朝はお線香をあげながら、「お誕生日おめでとう」も付け加えました。

誕生日のお祝いについては、かねがね父が言っていたことがあります。

これはもともとは、父が若い頃から慕っていた映画評論家の淀川長治さんが

おっしゃっていたことなのですが

誕生日は自分が祝ってもらう日ではありません

あなたが生まれた時に一番大変な思いをしたお母さんに感謝する日です

お母さんが亡くなっているなら、お墓参りをする日にしましょう


淀川さんも4月10日(1909年)生まれ

親しかったイラストレーターの和田誠さんも同じ誕生日で

みんなで一緒にお祝いしようと淀川さんをお誘いした時に

こうおっしゃったそうで、それ以来、父はこの言葉を大切にしていました。

こうして「四月十日の会」は、この精神を守りつつ一緒に食事会をしていました。 私たち家族もご一緒し、淀川さんのお話を伺うのが楽しみでした。 ・・と書いて、ふと思い出したことがあります。 突然、自分の話で恐縮です・・・ 私は美人ではありませんし、見た目を褒められるタイプではないですが、 見た目に関して言われたことで、今までで一番嬉しかった言葉は 淀川さんがくださった言葉です。 子供の頃から何回かお会いしていたのですけど、 20歳くらいの時だったでしょうか。 突然、淀川さんが私の顔を見ておっしゃいました。 「あなたは粋な顔してるね」 粋な顔・・・!!  永家に育つと、「粋」であることは一番の褒め言葉。 これは正直、「きれい」よりも「かわいい」よりも、 何よりも嬉しい言葉でした。

それに、「粋」は年齢で衰えることもありません。

これから何回誕生日を迎えても、

その度に母に感謝することを忘れず、

父の江戸っ子の血を継いだ「粋な顔」になる努力をしていこう・・・

父の誕生日に、そんな思いを新たにしました。


《四月の一句》

 花吹雪 母のいる子も いない子も (1993年)






​文:永麻理