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父からの伝言

ゴールデン・ウィークに紛れ込んで

あまり意識されていないかもしれませんが、

今日、5月3日は憲法記念日。

父は小学校時代をまるまる戦時下で過ごした世代です。 戦後新しく「日本国憲法」が発布された時、そのなかで 日本はもう二度と戦争はしない、と明言されていることが 心から嬉しかった、と言っていました。 「戦争の放棄」を掲げる第9条は、 戦争でボロボロになった日本人に 深い安堵と明るい未来を感じさせてくれたに違いありません。 六輔はその昔、まだ30代の頃に深夜放送のラジオで、 「日本国憲法」の全文を読み上げたことがあります。 3時間30分かかったそうです。 法律の勉強でもしない限り、普通はなかなか 憲法を読むことはしないでしょう。 私もちゃんと読んだことはないまま生きてきてしまいました。 でも、「日本国憲法 前文」だけ読むのはお勧めです。 父が「9条をよろしく」と言い遺した 芸人の松元ヒロさんがライブステージで演じる「憲法くん」という演目では、 ヒロさんがこの前文を朗々と暗唱するのですが、 その一語一句を聴くと感動します。 長い文章ではないので、ご参考までによかったら こちらで「前文」だけ読んでみませんか? https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/shiryo/dl-constitution.htm#zen 憲法に関しての《ろくすけごろく》 ぼくは「憲法9条を守ろう」と言っていますが、根本的には、 第99条を守ればいいんです。  ちょっと読んでみましょう。 「第九十九条、天皇または摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の 公務員は。この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」 これが守られれば、憲法そのものが守られるわけです。 ところが、義務を負っている側の国務大臣が改憲云々と言っている。 国会議員もそうです。 この条文にある人たちのなかで、実際に憲法を尊重し擁護しておられるのは まちがいなく、天皇です。 だから、ぼくは今の天皇陛下を尊敬します。

(※この発言当時は平成) 六輔は若い頃の言動から、反皇室のイメージを持たれがちでしたが 実際には、特に晩年は上記のように言っていました。 「憲法改正」(場合によっては「改悪」)というと 第9条ばかりクローズアップされがちです でも、細かく見れば、現行憲法には 例えば同性婚を認めにくくしてしまう条文など、 これは時代にそぐわなくなっているんじゃないか、 という部分は確かにあると思います。 私個人は、そういう部分はアップデートするべきだし、 第9条はそのままがいいと考えます。 だから、メディアが行う世論調査で 「憲法改正に賛成ですか、反対ですか」という質問があると そんな大雑把な訊き方じゃだめでしょ、といつも思うのです。 世の中にはいろいろな意見があるでしょう。 ただ、父は、戦争を知っている世代の人間として 戦時下で辛い子ども時代を過ごした経験者として 「戦争だけは絶対にだめ」という単純明快な思いで 憲法9条は変えてはいけない、と訴え続けていました。 今、あらためて「戦争は嫌だ」という思いを伝えていかないと どこかでこの国を戦争ができる国に変えてもいいというような雰囲気が 流れはじめていて、それはとても怖いと思います。 本当に戦争に関わるのはよそう 戦争を手伝うのもよそう どこかの戦争を支持するのもよそう とにかく戦争はいけないんだと、それだけを言い続けていきたい。 私にとって、これは父からの伝言のひとつです。 《 五月の一句 》  噴水のなか一瞬の虹生まる   (2005)







撮影・中井征勝





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​文:永麻理

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